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落ちた世界から

080315_180703 千駄ヶ谷にある、国立能楽堂へ。

知り合いの方からチケットをいただいたので、友人と能を観に行きました。

能を観るのは初めて。私なんかに分かるのか、心配でした。

『鉢木』という演目でした。


<内容> 鎌倉幕府の執権・北条時頼が、身分を隠し僧の姿で諸国を旅をしている途中、大雪に遭い、あたりの民家に宿を探す。家の主は、一族に領地を奪われ零落した武士、佐野常世。一旦は宿を断るけれども、僧にも宿を貸せない身の上を嘆く妻を見て、僧を呼び返し、秘蔵の鉢の木を伐って薪に炊いてもてなす。そして、落ちぶれていても、もし鎌倉に事が起きたら真っ先に駆けつける覚悟があるという話をする。鎌倉に帰った時頼は、常世の忠誠心を試すために諸国の軍勢を召集。痩馬に破れ具足、錆びた長刀で駆けつけた常世を見て、時頼は賞揚して、本領を安堵、鉢の木の返報に所領を与えた、という話。


退屈だと思うから寝てしまっても大丈夫、と言われていましたが、2時間程、食い入るように観劇。

『見せ場が多く、演劇性の濃い作品。芝居に落ちる危険もある』と、パンフレットに書いてありました。
だから私にも分かったのだな、と、思った。
というか、「芝居に落ちる」 って言うんだ、と思った。
確かに、若い方々の台詞や演技の方が分かりやすく、聞き取りやすかった。

一箇所、笑ったところがありました。

時頼が、召集した軍勢の中から常世を探せと命じるシーン。
家臣が ((痩馬に破れ具足、錆びた長刀の武士などは何処にもいないです。(振返り)あっ いた)) となる演技で。

乗り突っ込み!?

思わず噴き出した。
会場の9割以上のお客さんは年配の方でしたが、笑っている様子はない。

これだけ集中力が必要な能の舞台、笑いとは紙一重の世界だと思った。
集中が少しでも途切れた瞬間に、必ずそれはやってくる。おいしい。いや、おそろしい。
だからこそ、芝居に落ちる危険か、と勝手に思った。

それにしても、時頼と常世の役の方は素晴らしかった。集中力と隙のなさ。どっしりとしていた。
特に常世の役の方は、なんとなく物悲しい佇まいと、凛とした立ち姿、誠実で不器用な感じ滲み出ていました。
立ち姿、佇まい方は大事だと改めて実感。

貴重な時間を過ごさせていただきました。
何百年も前に日本で創られて、今も継承され続けているもの。
うん。日々勉強。

そんなことを思いながらの帰り道、私は犬のうんちを踏んでしまいました。

この話の後に書くべきか少し悩みましたが、事実なので書くことにします。

駅までの帰り道、はじめ友人が踏みそうになっていたのを私が気付き、それを回避。
写真を撮るのを忘れたので、一度引き返した。

上下にある写真を撮り、再度の道すがら、私が思いっきり踏んでしまいました。
しかも妹のブーツで。犬のうんち。大人なのに。

遠い日本の過去に思いを馳せていましたが、一気に引き戻される。今、この時。
これが現実だ、と思った。

というか、ごめん。妹よ。
悪いので、言わないでおこう。

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